今日の自分が一番かわいい。道重さゆみの自己肯定術

ライフ
マイナビウーマン
2020/05/21 17:10

取材・文:井田愛莉寿/マイナビウーマン編集部、撮影:洞澤佐智子

時々、鏡に映る自分の顔が恐ろしくブサイクで、ぞっとする瞬間がある。

その嫌悪は年齢を重ねるごとに増していって、30代を目前にした今がコンプレックスのピークだったりする。だから、私は年を取るのが怖い。

そんなコンプレックスを抱えたまま会いに行ったのは、モーニング娘。OGの道重さゆみさん。アイドル現役時代はもちろん、卒業後の今まで約17年間“かわいい”を貫き続けてきた女性だ。

“10代はかわいい。20代は超かわいい。30代は超超かわいい。今までで今日が一番かわいいんです”

以前、彼女が発信したこの言葉は瞬く間に拡散され、共感を呼んだ。救われた女の子は一体何人いるだろう。

自己肯定の天才が教える、自分を認めてあげるコツとは? この記事に出会ったあなたが、どうか自分のことを少しでも好きになれますように。

■在籍期間は歴代最長。彼女がグループに残り続けた理由

道重さんがモーニング娘。を卒業したのは、2014年。彼女が25歳の時だ。

その頃のメンバーは、ほとんどが10代。私が小学生の時に応援していたゴマキや辻ちゃん、加護ちゃんなんかはとっくの昔に卒業していて、2010年以降の新鮮な顔ぶれに少々戸惑ったのを覚えている。

だけど、そこにはぽつんと一人、昔から知っているアイドルの姿があった。世代交代を迎えつつあるグループの中に、なぜ彼女は一人残り続けたのか。

「ただただ本当にモーニング娘。が大好きだったから。活動はすごく楽しかったし、ファンの人たちと一緒にいる空間が好きでした。もちろん、メンバーのことも。それが一番でしたね」

グループについて語る道重さんの笑顔は愛で溢れていて、自分のことを「かわいい」と胸を張って称する根拠が、その表情にはぎゅっと詰まっていた。

こんなにかわいくて、全てを持っているように見える彼女は、天性のアイドルと言って間違いない。だけど、初めから順風満帆だったわけではないらしい。

「私、歌とダンスが得意ではないんです。だから、初めの頃はソロパートもほとんどない。たまにあるのは、吐息とかセリフのパートだけでした。他にも、モーニング娘。主演のミュージカルでは、私のセリフがほとんどなかったり……。

だから、『私ってモーニング娘。に必要なのかな』と悩むネガティブな時期もありましたね」

心から憧れて、やっとつかんだ場所。そこで彼女が抱えた葛藤。では、目の前の誰よりもポジティブな女の子は、どのようにして生まれたのだろう。

「変われたきっかけは、さんまさんにもらった言葉でした。その時の自分の話をさんまさんにしたら『面白いな、お前』って言ってくださったんです。

私からしたらマイナスな出来事だったはずなのに、そんな状況を笑い飛ばしてもらえたことで、その瞬間から全てがプラスの出来事に変わりました。

それからは、グループの中で“自分にしかできないこと”を見つけたいって思うようになったんです。『ソロパートはたくさんないけど、とにかく私は表情で勝負しよう』とか、バラエティーに出させていただく時は、『とにかく頑張るぞ』という思いで挑んでました」

■「モーニング娘。大好き少女」が「大人の女性」になった時

モーニング娘。在籍中、道重さんにはある目標があった。

「私、リーダーを務めてから卒業したいという目標もあったんです。やっぱりせっかく大好きなグループに入れたんだから、そこで一番上を経験してやるぞじゃないけど、リーダーになるのは私の中で一つ大きなことでした」

真面目な表情で本音を漏らした後、「だって、リーダーって得することも多いんですよ?(笑)」と冗談を漏らす。重たい空気は嫌いで、どんな場面でも率先して彼女が笑い、場を明るくする。そんな気遣いが、とても魅力的だと思った。

「リーダーになる前の私は、自分さえ良ければいいと考えていた部分があって、誰よりも前に出て『爪痕を残したい!』くらいのテンションだったんです。

やっぱりテレビ番組に出て最初にあいさつをするのもリーダーだし、ニュース記事でコメントを拾ってもらいやすいのもリーダーであることが多い。だから、羨ましい気持ちもあって『リーダーになりたい!』なんてことも簡単に言っていました。

でも、いざリーダーになったら、そんな考えは本当に歴代のリーダーの方達に失礼だったなと痛感しました。だって、想像以上に大変なこともたくさんあったから」

最初は、“自分のため”になりたかったリーダーのポジション。向き合った途端に直面したギャップは、少しずつ彼女の考え方を変えていく。

その矢先に見えたのが、10年以上在籍したモーニング娘。からの卒業だった。

「リーダーになる前は、ずっと自分が目立ちたいと思っていたのですが、それからはリーダーという視点でグループ全体や後輩たちのことを見るようになりました。彼女たちがどんどん頼もしくなっていく姿を見ながら思ったんです。もうみんななら大丈夫。よし、卒業しようって」

それは、モーニング娘。のことが心から大好きだった少女が、いつしか大人の女性になっていた瞬間。

「私が卒業することで、本当の意味での“新生モーニング娘。”を作るべきだと思えたタイミングでした」

■何歳になっても「かわいい」を貫く女の子の努力

彼女は、自信たっぷりに自分のことを「かわいい」と言う。

その外見を見れば確かに誰も異論はないと思うけれど、この自己肯定を口に出すのって結構難しい。だって、自分のことを自分で認めてあげられる人って、一握りもいないんじゃないかと思う。

「自分のことを『かわいい』って言うのは、一種のおまじないでもあるんですよ。そう思い込ませているってこと。

私も『今日はむくんでるな』『全然イケてないな』って思う日もあるけれど、そんな時こそ鏡の前で『よし、今日は絶対にかわいいぞ』と言うようにしています。後ろ姿だけでも、髪型だけでもいいから自信が持てるポイントを一つ見つけて家を出るようにするんです。要するに、全て自分の気持ち次第だから」

もちろん、その自信は思い込みだけじゃない。

「あとは、頑張ってきた自分を肯定して、信じてあげること。

実は私、結構な心配性で、歌詞とかダンスとか何も覚えていない状況でステージに立つ夢をよく見ちゃうんです。そういう悪夢、見ることありませんか? なので、現役時代からずっとやってきたことがあって。『今日うまくできますように』じゃなくて、『今日もうまくいくから大丈夫』と自分に言い聞かせるんです。

『うまくいきますように』だと願望じゃないですか。だけど、『うまくいくから大丈夫』は、頑張ってきた自分を信じてあげることになるので」

“「どうせ私なんてブスだしさ」「ずっと20代のままがいい」「30歳を過ぎると結婚も、転職も難しくなるらしいよ」”

女友達と会話する度、こんなネガティブがどこからともなく降ってきて、自分たちの口からこぼれ出る。

そして、自身が向かう先の未来を否定することが悲しくて、虚しくなる。

30代を目前にした私たちは、どうしても自分を肯定することから目を背けがちだけど、そんなんじゃ未来を愛せなくて当然だ。

「私の中で、アイドル=モーニング娘。なので。これからはアイドルというよりは、『道重さゆみ』っていうジャンルを新しく作っていきたい!」

自己肯定が大得意な一人の女性と出会って、私ももう少し自分を信じてあげたいと思った。そのためには、自分を裏切らない努力だって必要だ。20代後半、これからやらなきゃいけないことは山ほどあるみたい。

そうして辿り着く30歳、40歳。100歳だって、悪くはない気がする。待ってろ、30代の超超かわいい私!

道重さゆみさんカバー

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