絶対に真似してはいけない「禁断の恋愛」

恋愛
マイナビウーマン
2019/03/19 17:10
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絶対に真似してはいけない「禁断の恋愛」


Q.「30歳までに結婚したいのに、不倫をはじめてしまいました。これは地獄の入り口ですか?」

仕事でミスして半泣きで残業していたら、上司に飲みに誘われました。飲みながら悩みを相談するうちに、わたしは泣いてしまいました。上司は困ったように笑って、頭を撫でてくれました。で、気づいたらホテルでキスしてました。まぁさすがにそれは嘘ですけども、そのくらい自然な流れだったったんです。

上司のことは今までなんともーーあぁごめんなさい、それも嘘です。めっちゃカッコいい、めっちゃスマート、めっちゃタイプと思ってました。自他ともに認める恋愛体質ながら、不倫だけには手を出してこなかったのに、30歳を目前にして一発KO、ホールインワン。ホテルを出る前に、真剣なまなざしで言われた「遊びじゃないよ。付き合ってほしい」が録音できていたのなら、何千何万回でも聴きたい。

わたしはバカです。

奥さんとうまくいってないとか、テンプレですよね? 嘘ですよね? でも信じたいと思ってしまいます。不倫からはじまって、結婚までいった方っていますか?

(東京都 28歳女性)

ここまで打って、どこにも投稿せず消した。

末席ながらネット業界の女である。知恵袋だろうが小町だろうが5chだろうがマイナビウーマンだろうが、ネットに不倫女の居場所はない。

上司の観月壮亮さんと、付き合いはじめてもうすぐ2カ月。スーツの似合う高身長、スマートな身のこなし、でも笑った顔はかわいくて。初めて会った日、うちの会社にこんな人が! と心が弾み、チラ見した左手に指輪があって、心の中で舌打ちをした。それが今、仕事後の彼をもてなすためにハンバーグをこねている。

LINEの通知音。飛びついたけど、彼からじゃなく友人の茉莉乃からだった。

「今日彼氏来るんでしょ? 打倒デパ地下 がんばって!」

彼の奥さんに会ったことはない。聞く限り、バリバリのキャリアウーマンらしい。

「仕事はできるんだけど家事が苦手でね。食事は大抵デパ地下なんだ」

ベッドの上で苦笑した彼の、思いついたような「……ハンバーグとか作れる?」にうなずいたわたしは見栄っ張りかもしれないけれど、たぶん恋ってそういうものだ。ていうか、別に嘘じゃない。作れるもん、クックパッドがあれば。

次の着信は壮亮さんからだった。今から会社を出るらしい。スマホを胸に当てながら、自分を落ち着かせるために大きく息を吸う。大丈夫。玄関も掃いて、水まわりも掃除した。気合いの入りすぎない部屋着とテーブルセットも用意した。玄関には花だって……花!

買ってからまだ5日も経っていないのに、花びらの端が茶色くなっている。どうしようか迷ったけど、エプロンを脱いで花屋に走ることにした。わたしの家は、モデルルームみたいじゃなくていい。でも彼が癒やされるような場所にしたい。そういうほっとする空間づくりに、やっぱり花は必要な気がした。

呼び鈴が鳴ったのは、電話から40分後だった。ハンバーグに目を輝かせた彼は、36歳・WEBサービスマネージャー・K大卒・既婚。何度もおいしいと言って完食してくれた。

「いいのかな、こんなにかわいい子の手料理食べて」

そう言った彼はもっともっと悪いことをして、深夜にこの部屋を出て行った。いってらっしゃいとは言えない。数十分後、彼におかえりを言う人がいる。いや、言わないかもしれない。とにかくそういう権利を持つおんなのひとが、この世にひとりだけ存在する。買ったばかりのモッコウバラは、彼の視界に一瞬でも入っただろうか。

眠れなくて、ついついスマホに手が伸びる。

彼と付き合いはじめてから、自分に課したルールがある。期待しすぎない。奥さんと別れてと言わない。奥さんのことを調べない。たった3つのルールのひとつを、早くもわたしは破ろうとしている。

どうしてこんな小さな機械で、あらゆることがわかってしまうんだろう。知りたい。けど知りたくない。それでもきっと、わたしは見つけてしまうだろう。必死に探して諦めるには、わたしはインターネットがうますぎる。

壮亮さんのFacebookから、元同僚を何人か経由。それっぽいアカウントはすぐ見つかったけれど非公開。アイコンもうしろ姿だった。捜索の場をインスタに移し、関係者のアカウントを見つけた。タイル状になった写真の中に、数時間前までこの部屋にいた彼を見つけた。

白いタキシードに身を包む壮亮さん。隣でウェディングドレスを着ている女性は、白い歯を見せて笑っている。

こうして私は、インターネットで、一方的に、彼の奥さんと出会ったのだった。

Q.「30歳までに結婚したいのに、不倫をはじめてしまいました。これは地獄の入り口ですか?」

ベストアンサー「はい、地獄の入り口です。だけどあなたは自分から、奥へ奥へと進んでいくし、底へ底へと潜っていくのです」

>「彼に奥さんがいるだけなのに!」第2話に続く

(文・イラスト:白井瑶)

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