5月- 鬱は突然 -

元気になったら…退院したら…の帰結部分が大量に溜まって、でも無期懲役的に入院が長引いて if not hospitalized〜みたいな現在の事実に反する起こり得ない条件節、仮定法過去になりつつある。
どんな帰結があったろう。
最後の中3達とバーベキュー、ハワイで同窓会、国立新美とブリジストンと東郷青児のはしご、ロスにお礼参り、アナハイム、ボストン、ロンドン、ヴュルツブルグ、タイペイ、浅草2号店でビーフシチュー、カリブ・クルーズの旅、ミュンヘンフィル、弘前城で花見、吉祥寺のチーズ屋、マジアディファリーナのパンケーキ、アイーダ観劇、シノアの唐揚げ、、、ボヘミアンラプソディーはテレビで観るしかないか、、、変わったやつではロマネの一気飲みとか千人の交響曲に飛び入り、、、なんてのもあったけど、最近の行けたらなあ は一階のスタバ。
どれもこれも実現不能、絵に描いた毒入りの餅…籠の鳥。
でも今日は ho 達が遠足でディズニー、楽しいストーリーがインスタにたくさん上がってきて見てるだけで元気になる。
こんな風に喜哀楽を照れずに表に出せる青春を過ごしたかった。
最近まで、ほんと、この3,4年前くらいまで楽しい、嬉しいをむき出しにするのが恥ずかしかった。
「だって、嬉しい時は普通に、えっ、だって自然に喜んじゃうよ」
そう言ったわけではないが、ho はいつもそんな感じだった。
買い物に出て、偶然その辺で出会うとあたりをはばかることなく「塾長〜」叫んで飛びつかんばかりの勢いで突進してくる。
これもそう言ったわけではないが「会えてめちゃ嬉しい、だって塾長大好きだもん」いいように解釈だけどこんな感じ。
不可避、不可抗な不幸の中にあって別垢では涙の跡も見られるのに、会う時はいつも明るく元気で楽しそうだった。
それまで「楽しい!」「嬉しい!」って声に出して言ったことがなかった。
ho のおかげで言えるようになって実際、あれから10回くらいは「嬉しい!」、「楽しい!」も3回は叫んだ覚えがある。
少々の不幸があっても今を楽しむ、何かを見つけて喜ぶ。そんな目、そんな感性を持たなくちゃいけないっていうことを彼女から学んだ。

些事に喜びを見つけ、都度、それを句と水彩画に遺した天才はこの人。

いくたびも雪の深さを尋ねけり
ひらひらと風に流れて蝶ひとつ
鶯やとなりつたひに梅の花
うつむいて何を思案の百合の花

背中に穴が開いていても、咳が無限に思えるほど長く続いても、子供のように雪を喜び、蝶の行方を目で辿る。
鶯はほんとに隣の枝伝いにひょこひょこと場所を移るし、百合の花は、そうだね、頭を垂れて何かを考えている。
こんなすばらしい目を持っていて、ど真ん中の言葉を的確に選んで、それらをきれいにベールで包む。
たった17字の必要十分条件が完璧に満たされ、一句読むたびに絶望と嫉妬を覚える。
カリエスでも無限に咳き込んでも、あなたにはとんでもない才能があった。
病気の間中、感性はフル回転、才能リア充だった。

i wish i had as much gifts as you.


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