ちゃぐちゃぐ馬こ(1)




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盛岡市の年中行事・宮沢賢治関係






 「ちゃぐちゃぐ馬こ」は、岩手県盛岡市・滝沢市の年中行事で、「ちゃごちゃご」「ちゃがちゃが」「ちゃんがちゃんが」とも呼ばれます。これらは、行進する馬につけた鈴や“鳴り輪”の音です。

 宮沢賢治もこの行事が好きで、連作短歌↓を詠んでいます。いつかは見たいと思っていた「ちゃぐちゃぐ」を、今年ようやく見に行くことができました。








      ちゃんがちゃがうまこ

 □夜
(よ)の間(ま)がら ちゃんがちゃんがうまこ
  見るべとて 下
(しも)の橋には いっぱ 人立つ

 □夜明には まだはやんとも 下の橋
  ちゃんがちゃがうまこ 見さ出はた人

 □下の橋、ちゃんがちゃが馬こ 見さ出はた
  みんなのなかに おとゝもまざり

 □ほんのぱこ 夜あげがゞつた雲の色
  ちゃんがちゃがうまこは 橋わだて来る。

 □中津川ぼやんと しいれい藻の花に
  かゞった橋の ちゃがちゃがうまこ

 □はしむっけの やみのながゞら 音がして
  ちゃんがちゃがうまこは 汗たらし来る

 □ふさつけだ ちゃがちゃがうまこ はせでげば
  夜明けの為か 泣くたよな 気もする

 □夜明方 あぐ色の雲は ながれるす
  ちゃがちゃがうまこは うんとはせるす

(大正6年6月中)   

『アザリア』,1号,1917年7月. より。 


「まだはやんとも」:まだ早いけれども
「おとゝ」:弟
「ぱこ」:ちょっと
「夜あげがゞつた」:夜が明けかかった
「ぼやんと しいれい」:ぼんやりと白い
「はしむっけ」:橋の向こう
「ふさつけだ」:ふさ(馬装束の飾り)を付けた
「はせでげば」:馳せて行けば、走って行けば
「泣くたよな」:泣きたいような
「あぐ色」:灰色
「ながれるす」:流れます。






 現在は、6月の第2土曜に、滝沢市の鬼越蒼前神社から、盛岡市の盛岡天満宮まで、馬装束に鈴と“鳴り輪”を付けた数十頭の農耕馬が、子どもたちを乗せて、がちゃがちゃと賑やかに行進します。

 とは言っても、いまどき現役の農耕馬なんて、岩手県にもほとんどいません。苦労して各地から借りてきているようでした。今年最大級の“借り馬”は、北海道から来た真黒な輓馬でした。気性が荒すぎて人を乗せることができず、二人がかりで綱を引いて歩かせましたが、途中で何度も暴れ出して、綱執りのおじさんたちは、宥めるのに必死のようでした。







鬼越蒼前神社 


朝の蒼前社附近は、車と人でいっぱい。
うしろの山は、燧掘
(かどほり)




鬼越蒼前神社

「鬼越(おにこし、おにこり)」は地名。
「蒼前(そうぜん)」は、馬の神様。
古くは「駒形神社蒼前社」とも呼ばれた。



∇ 関連記事⇒:
燧掘山と石ヶ森







鬼越蒼前神社 
拝殿
1頭ずつお参りしてから、出発します。




鬼越蒼前神社 
拝殿

この安全祈願が、どうしてどうして一仕事です。
拝殿の中にも人がおおぜいいて、見ているので、
馬は怖がって逃げ出そうとするのを無理やり
押さえながら、柏手を打っていました。







鬼越蒼前神社 
馬装束
矢印が「鳴り輪」




鳴り輪 
もりおか歴史文化館

昔は熊よけのために馬に付けたと言われます。
たしかに、登山用のクマよけ鈴に似た鈍い音がします。




鬼越蒼前神社 
馬装束
「鳴り輪」のほかにも、馬装束には、
小さい鈴がたくさん付いています。






∇ つぎの記事⇒:ちゃぐちゃぐ馬こ(2)




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