母の突然の怒り

小学5年生の頃ー。

当時私はずっと習っていた珠算に加え、バスケ部の部活動と放課後も大忙しだった。

毎日帰宅は19時を超えるため、いつも母が迎えにきてくれた。

今日の出来事を報告するのが私達の日課になっていた。

学校の裏側に広がる車通りの少ない住宅街を通って帰る。

いつも私は車道側を歩き、母が内側。

母の向こうにはブロック塀とヘチマの黄色い花が咲いていた。

そんないつもの帰り道、何だか母の様子が違った。

様子が違うと分かったのは事が起きてから。

その日の私は良い報告しか持っておらず、部活でファインプレーを決めたことや数日前に受けた珠算テストで合格したなど。

どちらも分かりやすい結果を得られて、スキップするほどに上機嫌が止まらなかった。

その流れで、、、他に何を話したかは覚えていない。

車通りの少ない夜道。

急に母の怒鳴り声が響き渡った。

「もう少ししっかりしなきゃダメだよ!!!!」

怒鳴り方は確かこんな風だった。

一瞬何が起きたか分からない。

私が調子に乗って何か言ってしまったのか。

でも何となく感じたのは、今に始まったことに怒っているのではない。

今まで溜まっていた思いを吐き出す、そんな様子を子供ながらに察した。

私に対する気持ちだけではなく全てに対して。

それまでのうっ憤を晴らすようだった。

住宅街に声が渡った瞬間、脳内が『?』でいっぱいになり頭が真っ白になった。

抽象的な怒り方に話の真相が見えない。

申し訳ないが、何に怒っているのか理解できなかった私は口をつぐんだ。

今は下手に喋るのはよそう、それが最善だと思った。

今日だけ、母の様子がおかしい。

今日だけ。

その特別だと思えた『今日だけ』の日は高校を卒業するまで続いた。

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