もう一度会いたい人

中学3年生最後の数ヶ月間、私は不登校になった。

学校には行くが教室には行けない。

体調が悪いと保健室に駆け込むことが増えた。

部活は既に引退していた。

本業の勉強も、あとは今までの頑張りを受験にぶつけるだけ。

学校に行かなきゃと縛られる必要も無かった。

が、担任の英語の先生が私のちょっとした変化に気付いた。

名前は中村先生。

短髪黒髪で顔は少し面長、眼鏡にキレ目で少し色黒で黒のスーツが似合っていた。

先生は2年前に私の兄の担任でもあった。

兄からは「見た目は怖いし、厳しい先生だ」と聞いていた。

その通りいつもキラリと眼鏡を光らせている。

情報に偽りはないが、実際に接してみると中村先生には幾つか追加情報があった。

実はノリが良くて負けず嫌い。

体育祭では先頭を切って組を引っ張ってくれた。

そして時には情に厚くて涙もろい。

合唱コンクールでは絶対に優勝すると意気込み、毎日の練習は厳しかった。

途中みんなの心がバラバラになりかけた時には思いの内を恥ずることなく話し、クラスを見事にまとめ上げた。

そして最優秀賞を取った際には一番に涙を流し喜んでくれた。

そんな人間味溢れる中村先生に、私は感謝しなければいけない。

卒業間近で私の変化に気付いた先生は、受験の前日に一冊のノートを返してくれた。

今まで宿題を提出するのに使っていたノートだ。

「最近気が緩んでないか?明日(受験に)は気を引き締めて行けよ」

と少し厳し気なメッセージと共にノートを返してくれた。

表情も少し強張っていたし、いつもより低い声だった。

何となく「怒られたのかな?」と思ったほどに違和感があった。

家に帰って宿題の答えを確認しようとノートを開く。

最後のページに赤い字で先生からのメッセージが書いてあった。

でかでかと1ページ使い切るように

「色々あるけど、頑張れ!!!」

涙がとめどなく溢れ、文字が見えなくなった。

誰にも言えなかった思いが少し、ほんの少し軽くなった。

先生のおかげで受験は見事合格を勝ち取れた。

その後の高校生活は想像を絶するものだったが、あの時受けた恩は一生忘れない。

そして今後生きていくうえでも度々思い出す。

願いが叶うなら恩師にもう一度会いたい。
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